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「本が読めない人のための読書術」開催レポート

2026年1月24日(土)、豊橋駅前の emCAMPUS STUDIO にて、一般社団法人移住者人材バンク主催イベント「本が読めない人のための読書術」 を開催しました。

本イベントは、豊橋の持つ豊かな読書環境を知ってもらい、その環境だからこそ実現できる「読書が苦手な人こそ、自分に合った読書のかたち、読書のやりかたを見つけてほしい」――そんな思いから企画されたものです。そのため、著者としての経歴をもつ「読書名人」に登場いただき、本が読めるようになるためにはどうしたらいいだろうか? また、私たちは本当に本を読むべきなのか? という問いに答えていただきました。

当日、会場には会社員、教育関係者、士業、地域活動に関わる方など、立場も年齢も異なる参加が集いました。開会前のイントロダクションではモデレーターを務める沢渡さんの「本を月1冊以上読んでいる人?」という問いかけに、会場参加者の1/3ほどが挙手。読める人の中には月300冊読んでいる!という方も。
一方で、2/3ほどの方はなかなか読書に取り組めていないようです。

本を読むようになったきっかけや「読書の理由」

NPO法人しごとのみらい理事長で、「元・本が読めなかった経験者」としての立場で登壇された竹内義晴さん。竹内さんは仕事で心折れたときに読書によって救われた経験から、読書は自分にとって必要な時間でもあったと語ります。おそらく自分を癒すための体験として本が必要だった竹内さんは、今は書き手としても多くの著作を生み出しています。

学校法人高倉学園理事長・豊橋中央高等学校校長をつとめ、インド映画研究家としての顔も持つ高倉嘉男さんは「読める」立場でご登壇いただきました。高倉さんの読書経験のきっかけは通学電車の「暇つぶし」だったそうです。また、大学で研究の道に進んだため、「読むという行為は完全に情報収集。読まないと、その世界から出ていかないといけなくなる」という必要性から大量の論文や書籍を読む力を得られたのだとか。

そんなお二人のコメントに、モデレーターを務めた作家の沢渡あまねさんは「そもそも、読書って何のためにするんでしょうね?」と問いを投げかけます。会場からは「社会構造を知るため」「自分の価値観のアップデート」「映像化作品の空白を埋めて楽しむ」など様々な意見が。沢渡さんはそれらの発言を受け、続いて「じゃあ、忙しい人が読む時間を作るためにはどうしたらいいでしょう?」と新たな問いを立てました。

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忙しい人が本を読む時間を作る方法

まず発言者の沢渡さんが挙げたのはオーディオブック(書籍を音声で朗読するコンテンツ)。車移動の多い地域ではぜひ活用してほしいと呼びかけました。

竹内さんからは、書き手としての経験から読書への姿勢として「作家が本当に1冊の本を通して言いたいことは全体の2割程度。だから、1冊の本から2割情報が得られればいいと思えばいい」と説明。全部頭から目を凝らして通まなくても大丈夫! というメッセージで肩の力を抜いてくれます。そのうえで、ビジネス書の読み方としてお勧めの読み順を「まえがき・あとがき→はじめに→目次→本文」の順だと教えてくれました。理由としては「まえがき」や「あとがき」は一番作者のメッセージや想いが詰まっているからだそう。この指摘には、著者でもある登壇者の皆さんもうなづいておられました。

高倉さんは「僕は自分を信用していないので、強制的に読む時間を作っています」と告白。例えば新幹線での移動では時間のかかる電車を選ぶ、フェリーで移動するなどの時間を使う、など、読みたい本があるときは強制的に読むための時間を日常のなかに作っているとのこと。沢渡さんは「自分の弱さを仕組みで克服する、というところがすごくいい」と共感していました。

会場からは「仲間と同じ本を読む」「読書会や新刊発売イベントに参加する」「1冊の本を分担して読む」「推し書店をみつける」などのユニークな方法も。沢渡さんはそれらに加えて、「堅苦しい本を読むことだけが読書ではない。漫画や映像から入ったっていい」と語ります。竹内さんからも「読書は本来楽しみのためのもの。苦しいこと、乗り越えなければならないものではない」と発言があり、会場には頷く人の姿も見られました。

読書は「読める人」のためだけのものではない

高倉さんは「そもそも“文字を読む”という行為自体が、人類史的には新しい」と指摘。「なんだか今、本が読めないとダメみたいな空気があるけど、別に読まなくて済むならそれはそれでいい。読めない自分がダメだなんて思う必要はない」という発言に、会場にはほっとしたような空気も。

クロージングで共有されたのは、「読書は苦しい義務ではない」「一人で頑張って読むのではなく、みんなで一緒に読んでもいい」というメッセージ。
自分が少しホッとする一言に出会えること、誰かと同じ本をきっかけに話せること。ほんの少しだけ、違う世界に触れること。読書の様々な効果を肯定しつつ、本を読むという行為について語ることも人と人をつなぐ「きっかけ」なのだと、会場全体が共有した2時間でした。


おわりに

「本が読めない人のための読書術」は、読書を通じて、自分のペースを認め、他者とつながり、新しい行動や文化を生み出す場になりました。

豊橋市は多様な読書空間・共創の場をもつまちです。
まちなか図書館・中央図書館をはじめとした駅前から郊外までカバーする公的図書館ネットワークに加え、民営図書館である「ひとなる図書館」の存在感。また、駅前には精文館書店・豊川堂の二大書店に加え、最近ではZINE(個人や小さなチームが、自分の関心や想いを自由な編集で形にする自主制作の小冊子)や雑貨も扱う個人書店も登場しました。また、本イベントの会場となったemCAMPUS STUDIOをはじめとした多種多様なコワーキングスペースの数々では常に人の交流が行われています。だからこそ、私たちは豊橋という“読書環境に恵まれたまち”から、これからも「読書×〇〇」の試みを、少しずつ広げていきたいと考えています

ご参加いただいた皆さま、そして登壇者の皆さま、本当にありがとうございました!

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