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移住者インタビューVol.2 中田智恵さん

転勤族の夫とともに動けるうちは動くと決めて約5年間の豊橋暮らしを経験された中田さん。豊橋を出たからこそ分かる、この街のよさについて伺います。

中田智恵さんプロフィール

配偶者の転勤により豊橋市(富士見校区)子連れで移住した経験を持つ。1年間のアルバイト経験を経て整理収納アドバイザーとして起業。転勤族ならではの視点で個人宅を中心に機能的な収納のデザインやアドバイスを手掛ける。2021年、惜しまれつつ離豊。

■「豊橋に住むのか…人生終わったな」って正直思った

――中田さんは配偶者の転勤でいらっしゃったんですよね。

中田さん:私の夫は典型的な転勤族で、豊橋に来たときは長男が5歳、次男が1歳というタイミングでした。正直、豊橋への辞令が出て最初に思ったのは「人生終わったな」って(笑)。自分が大阪生まれで、豊橋の前に住んでいたのが兵庫県の都会だったのもありますが、豊橋のことをネットで調べても殆ど情報がなくて、「ド田舎じゃん!!」って思いながら引っ越してきました。

――調べたかったのはどんな情報ですか?

中田さん:例えば小学校でも、「●●小学校 口コミ」とかで検索すると他の地域ってそれなりに情報があるんですよ。豊橋はそういう意味でネット上に情報がすごく少ない。子どもの習い事ひとつとっても、どんな習い事があるのか、どんな評判なのかとか、そういうことが全然分かりませんでした。幼稚園なり保育園なりもそうで、どこが空いててどんな風な校風なのかも分からなかった。

なので、そういう情報が欲しくて市役所に住所変更の手続きのときに聞いたら、職員の方が丁寧に教えてくれたんですよね。あと、これは声を大にして言いたいのですが、豊橋に来てけっこうすぐに子どもたちを幼稚園と保育園に入れることが出来たんです。引っ越してきたのは7月で、中途半端な時期なのに。

――豊橋は「待機児童ゼロ」のまちですもんね。

中田さん:今いる自治体は幼稚園ですら年度途中では入れなかったりします。豊橋市は本当に凄いですよ。市役所の方も親身に情報を伝えてくれて、この手厚さはもっと知られていいと思います。

それで子どもを預けることができたので、すぐに近所のコンビニで1年間アルバイトをしました。コンビニのアルバイトを選んだのは、生活圏が近くて、世代とか環境も近そうな人が多いだろうと思ったからで、実際1年働いたら結構いろんなことが分かりました。子どもの習い事とか校区の情報だけじゃなくて、どのスーパーがどんなふうに良くて、だから自分のニーズに合ったお店はここなんだなとか、みんなどんなところで買い物してるんだなとか。

――ネット上に情報がないから、一次情報が重要だった。

中田さん:私は引っ込み思案ですが、こういう状況ではそうも言っていられないので、幼稚園でも自分から積極的に声掛けをしました。それで一人と繋がったら、その彼女の顔が広くて、どんどん人の輪を広げてくれました。豊橋で暮らすには人脈ってすごく大事だと思うんですが、それは経済界と繋がる!とか、そういうことじゃなくて、自分が欲しい情報を持ってたり相談出来たりする相手がいるって意味で、その最初の一人をつくれるかどうかで全然暮らしやすさが違うと思います。

■離れて感じる、豊橋というまちの「民度」

――中田さんは起業もされました。仕事を通して感じた豊橋の特性はありますか?

中田さん:裕福なご家庭が多いと思いますね。基本的に家が広いし、家が広いから結構みなさん抵抗なくモノを買われる印象です。大手メーカーの工場があることもあるのでしょうが、ベースの所得が割合皆さん高い。なので、精神的にも余裕がある方が多いと感じました。

転勤でいろんなところに住んできましたが、総体的に見て豊橋はとても治安がいい。荒れている校区がないですね。最初不動産屋で家を探していた時に、荒れている校区ってありますかと聞いて「そんなところはないです」と驚かれました。民度はかなり高いですよ、豊橋は。

――民度が高いという評価は初めて聞いた気がします。

中田さん:乱暴に豊橋の方って括っちゃいますが、豊橋の方は基本姿勢としておっとりされてる気がするんです。スロウテンポというか。私はベースが大阪なので、来たばかりの時はイライラしたり、会話のテンポが合わないなと感じたくらいです。

そういうところも関係すると思うのですが、不動産でも車でも、豊橋の営業の方たちって全然押し売りしない。情報も丁寧に教えてくれるし、嘘もつかない。誠実な方が多かったなと思います。

営業の方々に限らず、豊橋に来てお付き合いしていた方々は、誰に対しても「この人どういう人なのかな」って慎重に見極めて、「わかった、この人はこういう人なんだ」って分かって初めて本音を言う方が多い気がします。多分口コミがネットにないこととも関係するのでしょうが、探り探り、すこしずつ関係が深まっていく感じです。

――それはお仕事においても?

中田さん:私の仕事は整理収納アドバイザーなので、おうちの中をどうしたい、どんなふうに片づけたいとか、どんなライフスタイルだとか、そういうヒアリングが非常に重要なんです。同じく片づけるとしても、見せる収納にしたいのか、時短にしたいのか、そういうニーズが分からないと着手できません。

他の地域ですと割合「私はこれこれこういう風に困っててこうしたい」みたいにはっきり言われる方が多いのですが、豊橋のお客様たちは割と口が重い印象です。だから、ニーズをきちんと汲み取るためにヒアリングはたっぷり時間をかける必要がありました。

地元出身者同士だとこの見極め期間が短くて済むんでしょうね。だから、移住してきた人だと、本音を聞けるような関係になるまで少し時間がかかるのかもしれないです。ただし、そうやってお付き合いできたお客様とはずっといい関係が出来ています。

■実は食育のまち・豊橋? ハイレベルな給食の話

中田さん:だけど、一度「民」になると凄く住みやすい町ですよね。野菜も貰えたりするし。

野菜の話をしていて思い出したのですが、豊橋は食に関しての環境は相当にいいんです。学校給食も量が多くて子どもの満足度が高かったり。

――それは初耳です。公立学校での給食に差がそんなに出るものですか?

中田さん:歴然と違います。豊橋では基本的にお米が主食で、汁物も主食もあって、副食も結構な頻度でつきますよね。おかわりもたくさんさせてもらえるし、少なくとも学校から帰ってきて腹ペコってことはなかったです。でも、今住んでいるところはそもそもの品数が少ない。週の半分パン食ですし、もともと提供してもらえる量の差も違うみたいです。

あと、食に関しては野菜でも肉でも魚でも、豊橋はかなり安いです。旬の食べ物もちゃんと手に入るし。あと乳製品も安い。食育に関しては豊橋は先進地域だと思います。

――そのほか、豊橋のここがよかった!というところはありますか?

中田さん:習い事に関しても豊橋はかなり恵まれています。個性ある習い事ができますし、何より安い。

豊橋市はもっと宣伝してもいいと思うんですけど、アクアリーナのスケートリンクは素晴らしいですよ。うちの子はアクアリーナの「子ども能力開発スクール」(*)でスケートと水泳を習ったんですが、月5千円未満という高コスパです。それでスケートが習えるんだ!ってびっくりしたし、すごくいい経験をさせてもらいました。

ここでスケートの楽しさを知ったので、転居先でも習えるところを探したんですが、受講料は倍額でした。それだとやっぱり諦めないといけないのかな…と思っています。

また、豊橋だとサッカーを習っているお子さんが多いですが、その費用もかなり安いです。豊橋では週3回の練習参加で月額3千円のチームもありますが、転居先ではだいたい週1回の練習参加で月額5千円くらいですね。だから、やっぱりそういう意味でも子育てにお金がかからない、すごく子育てしやすいまちだと思いましたね。

(*)豊橋総合スポーツ公園内にあるアクアリーナ豊橋、豊橋総合体育館で行われる体操教室のこと。子ども能力開発スクールは4歳から12歳までの子どもを対象としたプログラムで、夏季は水泳、冬季はスケートを体験できる通年教室となっている。

――最後に、移住希望者の方にお伝えしたことはありますか?

中田さん:最初こそすごくネガティブな印象で移住してきましたが、今、自分は豊橋市にはいい印象ばかりです。かけがえのない友人も出来たし、住むことはないとしても、ずっとこのいい印象は続くと思う。

住んだら分かる良さが多いので、都会から来て「豊橋?人生終わった」って思う方には、大丈夫終わらないよ、って是非お伝えしたいですね。

(聞き手 当法人 村井真子)

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