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くらし

移住者インタビューVol.1 荒木美里さん

配偶者の仕事の都合で心ならずも豊橋で暮らし始めた荒木さん。

子どもを持つようになって変わった豊橋ぐらしに対する感覚を寄稿原稿にてお寄せいただきました。

荒木美里さんプロフィール

豊橋出身の男性との結婚により豊橋市住民となる。多胎妊娠期、緊急帝王切開により早産を経験。その際に生まれた3歳の子どもたちと配偶者とともに、豊橋ではまちなかエリアとなる花田校区に暮らす。現在豊橋歴10年。

■結婚を機に豊橋に移住、名古屋に住むはずだったのに…

私が豊橋市に移住したのは、豊橋出身の夫との結婚がきっかけです。

といっても最初は豊橋ではなく、名古屋に住む予定でした。夫が当時は、名古屋の会社に勤めていたからです。

しかし義両親と話し合う中で、夫の地元である豊橋に住んで、主人はそこから名古屋に通勤することになりました。

正直、豊橋は地味なまちですよね。名古屋に比べると、まちを歩いているだけでテンションが上がることはありません。知っている人は夫の親戚だけだし、これから楽しく暮らせるのかが不安でした。

■人間関係が密で、ちょうどいい距離感に悩む日々

幸い、私の場合はすぐに知り合いもできました。ただ驚いたのは、お誘いの多さです。それも、こちらが断っても何度も誘っていただくことが多い。外から来た人間にとってはありがたい話でもありますが、「グイグイくるな…」と最初は戸惑いました。

また「知り合いの知り合いは、みんな知り合い」というように人間関係がつながっていくので、失敗できない、嫌われてはいけないと力が入ってしまっていました。

その結果、向こうはそんなつもりもないのに、こちらが無理に合わせて疲れてしまったこともありました。

■移住先での悩みの答えは、地元の人が持っている

でも豊橋の方たちをよく見ていると、上手に力を抜くところは抜きながら、お付き合いをされているんですよね。小さなコミュニティでどう円滑に人間関係を進めていけばいいのか、豊橋の方から学ぶことは多いです。

もっと早く気づけていれば、豊橋でのお付き合いも楽しめたのにと反省しています。

そして、この豊橋の方たちの「強引にグイグイくる」面に助けられたことも多々ありました。

■子育てを機に、豊橋のよさに気づく

その後、私は早産で双子を出産しました。当時0歳だった双子をバギーに乗せて散歩していると、「がんばってね!今が一番大変だろうけど」「ちゃんと眠れてる?」「手伝ってくれる人はいるの?」等々、多くの方から声をかけていただきました。なかには「お疲れ様。これ使ってね」と手作りのコースターを渡してくださった方も(笑)

駅のエレベーターから降りるときに、たまたま通りがかった女子高生が、自分が乗るわけでもないのに「開」ボタンを押してくれていたときには感動しました。

また大きな荷物を抱えて子どもを連れて傘をさし、スムーズに動けなかったときには、通りがかった方がサッと荷物を持ってくださったこともありました。

豊橋も「こども未来館ここにこ」や「のんほいパーク」など、子どもをつれていくところも充実しています。いずれも妊娠出産前には気づけなかったことですね。

■「強引な優しさ」でつながれたご縁

あるとき、双子を連れての外出が大変で、「ホームスタートまんま」という豊橋市内のNPO法人に付き添いボランティア(訪問サービス)を依頼したことがありました。

そのときにお世話になったボランティアさんが、NPO主催の双子の会を強く勧めてくださったんです。

当時の私は、子どもが無事に育ってくれるかという心配が先立っていました。双子の会に行く必要性をそこまで感じていませんでしたが、試しに行ってみることにしました。

すると、会場にはボランティアの方が何人もいらっしゃいました。そのおかげで、子どもたちの面倒はボランティアさんにお任せして、親同士のおしゃべりに集中することができました。子どもを気にせず話ができたのは久しぶりで、とてもリラックスできました。

■子育て支援も充実、SOSを出せば応えてくれるまち

私は早産で双子を出産したため、子育てへの不安が強かったです。担当の保健師さんの前で泣いてしまうこともありました。保健師さんには、子どもたちが2歳になる頃まで何度も訪問していただきました。離乳食で悩んでいるときに、栄養士さんと一緒に訪問していただいたこともあります。

それ以外にも、小さく生まれた赤ちゃんを対象とする支援を受けることもできました。豊橋市内の東山子育て支援センターでは月1回、小さく生まれた赤ちゃんとそのお母さんが集まれる場を設けています。私も、何度もお世話になりました。

そこでは保育士さんや先輩ママのアドバイスをもらったり、当事者同士だからこそ理解し合える話をしたりできます。こうした場があったおかげで、気持ちに余裕をもって子どもたちと向き合うことができました。

他の自治体では早産児のお母さん自らが、こうした会を立ち上げているところもあるそうです。やはり豊橋は恵まれていると思います。

■医療環境も充実、市民病院の素晴らしさを知ってほしい

最近は分娩できる病院がゼロのまちもありますが、豊橋市では、安心して妊娠出産ができます。

私の子どもたちが今日、無事に育っているのは豊橋市民病院のおかげです。私は市民病院で、緊急帝王切開で出産しましたが、産婦人科の先生だけでも3人担当していただきました。産婦人科以外にも小児科医(2名)、麻酔科医とかなりのバックアップを受けることができたことは今でも感謝しています。市民病院にNICU(新生児特定集中治療室)があって、毎日面会に行きやすいのも助かりました。NICUも小児科の先生、看護師さんも親切で、安心して子どもたちを預けることができました。

小児科、産婦人科に限らず、市民病院は医師の数も多いですよね。主人も地元出身の同級生からUターンの相談を受けたときには、豊橋市民病院の話をしているそうです。

市民病院に限らず、豊橋は小児科や産婦人科のクリニックも多いです。何かあったときに受診に困らないのは、ありがたいですね。

■運転しやすいまち、豊橋

子育てをするようになってありがたかったのは、豊橋が車社会だったこと。そして初心者にとっても運転しやすいまちだったことです。まちの作りがゆったりしていて、道幅や駐車場も広いです。

移住前は、愛知県は運転マナーがよくないイメージがあって心配でした。でも実際には皆さん譲り合って運転しているし、私がのろのろ運転していても、あおられたことはありません。都市部から地方へ移住する方のなかには、車の運転が心配という人もいると思います。そういった方にこそ、豊橋をオススメしたいです。

■リアルな場に行かなければ、必要な情報が手に入らない不便さも

一方で子育て中、困ったこともありました。先ほどお話したように、豊橋は人間関係が密なまちです。生活に必要な情報は、人と人とのリアルな口コミで伝わります。

私も子育て支援センターや双子の会に顔を出せば、情報を手に入れることができました。豊橋の方は教えたがりなので、幼稚園の情報など本当に助けていただきました。

でもこれは、裏を返すと「その場に行かなければ、必要な情報が手に入らない」ということです。豊橋のローカルな情報はあまりネットに載っていないし、発信している方も少ないです。

たとえば私が双子を出産して困ったのは、「どこなら双子用バギーで出かけても大丈夫なのか」「外食でも、どのお店ならお子様イスが2脚以上あるのか」「子育て支援センターは双子を連れて行っても大丈夫なのか」といったことが一切分からなかったことです。

双子の場合、私ひとりで連れて出かけられるようになるのも遅いので、そもそも「情報を得られる場」に出かけることが難しい。

双子子育てに限らず、それぞれの親御さんたちが持っている子育て情報は宝物です。そうした情報が集まる場がネット上に増えていくと、助かる人たちも多いと思います。

■移住を考えている方へ伝えたいこと

豊橋に移住した当初は、大都市圏のキラキラした部分に魅力を感じていましたが、今は心から、豊橋に住んでよかったと思っています。自分が住むまちに本当に必要なものと、逆に近隣のまちにあれば十分なものがハッキリしてきたからだと思います。

たとえば医療や子育て支援のサービスは、絶対に自分のまちにあってほしいです。でも私の場合、大都市圏のキラキラ感は時々味わえれば十分でした。幸い豊橋は名古屋も近く、東京や大阪にも行きやすいです。本数は少ないけど、ひかりも止まります。大都市圏の魅力を味わいたければ、それが可能な立地です。

つまり豊橋に住むと、都市部と地方のいいとこ取りができるんです。

また豊橋は、地方の割には美味しい飲食店も多く、気軽に行ける居酒屋や個性的なお店、ホテルのフレンチまでバリエーションも広いです。一見目立たないけど、少しずつ探検して豊橋というまちの面白さを発見していくのも楽しいです。

移住を考える際には、本当に自分のまちに必要なものと、近隣のまちで十分なものをはっきりさせておくと良いかもしれません。

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