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移住者インタビューVol.4 佐藤優希さん

故郷・宮崎県を離れ豊橋(吉田方校区)に居を構えた佐藤優希さん。妹弟も愛知県に移住させた実績を持つ佐藤さんが現在豊橋市に対して思う、「移住者にやさしくない」あり方と、受け入れられた今だから分かるまちのあり方を語ってくださいました。

■佐藤優希さんプロフィール

宮崎県高千穂町出身の自称・超田舎者。愛知県豊橋市を拠点に企業のプロモーションを仕事としている。趣味は自然を感じるところに行くこと、夢は自分の好きな事を仕事にして限界を知ること。

■若者の眼から見て衝撃だったこと:人が歩いていないまち

――佐藤さんは、ご就職で豊橋にいらしたんですよね。

佐藤さん:僕、宮崎県出身なんです。しかも宮崎の中でも結構田舎の高千穂市に住んでて。高校は宮崎市だったんですけど、田舎だよなあって思ったんですよね。高校の時アパレルの仕事したくて、でもそんな仕事全然なくて。それでしょうがないや、別なところ探そうって言ってたら、高校の先生が紹介してくれたのが豊橋近郊の工場の仕事でした。

それはアパレルの仕事ではなくて、自動車関係の仕事だったんですけど、でも愛知県=トヨタ自動車のイメージだったから、トヨタならいいじゃん、給料いいだろうし新車でクラウン乗れちゃうんじゃね、みたいな安易な気持ちで。ちなみにそれは今に至るまで叶ってません(笑)

――愛知県=トヨタ! 豊橋という地名は知っていましたか?

佐藤さん:知らなかったですね。あとは名古屋。九州での愛知県の地名はこの2つは知られていますけど、豊橋は多分あんまり知らないんじゃないかな。なので地元の友人に豊橋のことを伝える時には、雰囲気として名古屋市が宮崎市だとしたら豊橋市は延岡市くらいだよって答えています。(*)

(*)宮崎県において宮崎市は都会度ランキング1位、延岡市は都城市に次ぐ3位。愛知県における名古屋市は1位であり、豊橋市は一宮市に次いで3位になる(出典:住みたい街ブランドランキング)。

――実際住んでみてどうでしたか?

佐藤さん:うーん…まちなか、廃れてるって感じましたね。あれ? 誰もまちの中歩いてないじゃん、歩いてる俺恥ずかしい、って。

――誰も歩いてない。

佐藤さん:車社会だからですけど、そんなの外から来た人間には分からないですから。あと、ランドマークっていうか、ここがメインだなっていう場所がないような気がして。今はemCampasも出来たし、なんとなく広小路、駅前大通あたりが中心なのかな、みたいな思いもありますけど、当時は20代そこそこだったし。愛知県は宮崎より都会な気がしていたのでちょっとびっくりしました。

■友達が出来ない…… アゥエーに優しくないまち・豊橋

佐藤さん:僕、引っ越してきてから、なかなか友達が出来なくて。就職で来たので、もともと友人も知人もいないし、職場の人は退職しちゃうと疎遠になりますよね。なので、こっちに来て半年くらいで車を買って乗り回してましたね。浜松や蒲郡、新城の方にもいきました。渋滞もないし走りやすくて、知らない場所に行くのが楽しみでした。

――友達がなかなか出来ないのは、移住者が最初に感じるハードルかもしれません。

佐藤さん:飲みに行ったりしても、新しい店は入りにくいですよね。知り合いばかりで固まってるように見えてしまう。相手にはそういう意識がなくても、凄く敷居が高く見えました。忙しい時間帯だとスタッフさんもつっけんどんだったりするし。あんまり歓迎されていない感じもして、お店で友達を作るのは難しいなと思いました。

それで、僕は自分でイベントを始めて。当時流行っていたmixiというSNSのオフ会を主催したんですが、それで宮崎出身で豊橋に住んでる人とも知り合って。一般の人が多かったけど、飲食店を経営している人とか自分でサロンをやってるとか、そういう知り合いがそれでだんだん増えました。

豊橋は、知り合いが増えると住みやすいんです。すんなり要求も通してもらいやすいし。

――知り合いが増えないと、住みにくい。

佐藤さん:そうですね。僕、実は妹と弟も愛知県に移住させたんですよ。妹は一時期同居していて、結局10年くらい豊橋に住んでいたかな。弟は今西三河にいるんですけど、一番最初は田原市に住んでいました。二人とも多分僕が近くにいたってこともあって、なんとなく暮らしやすさを感じたんじゃないかと思います。

■豊橋は「田舎の良さ」と「田舎の悪さ」が共存している

――佐藤さんは豊橋で動画制作などの仕事をされています。

佐藤さん:さっきの話と重複するんですが、知り合いがいないと豊橋では商売しにくいですね。僕の場合も知り合いを作って、だんだん仕事になるかな、って感じで独立したけど、やっぱ最初はしんどかったですね。営業行っても「お前誰?」みたいな。売り物であるコンテンツとかサービス以前に、紹介者がいないと話を聞いてもらえるところまでたどり着けない。

なので僕は貢物作戦をとって、そこの壁を突破してますね。

――貢物作戦⁉

佐藤さん:豊橋の人って、すごく分かりやすくて。少し手土産とか持っていくだけで全然対応が違うんですよ。手ぶらでいったら話も出来ないけど、手土産があれば無碍にされない。「なんだ、気を使わせたなあ」とか言って、ちゃんと話を聞いてくれたりします。都会だと逆な反応が多い気がするんですけどね。「そんなの持ってこないでくれ」みたいな。そういう意味では、豊橋の人はこちらの気遣いや誠意をちゃんと尊重してくれる感じがありますね。

そういう、人情に篤い感じ、人の繋がりとか紹介を大事にするところは田舎なんだろうなあと思います。なので知り合いが増えれば増えるほど住みやすくなるし、仕事もいい影響を受けているように思います。

――田舎の悪さ、みたいなものも感じられますか。

佐藤さん:悪さっていうか、新しいもの、珍しいものに対する腰は重たいですね。周囲の評判をすごく気にする。例えば動画だと他の地域の飲食店さんの事例はこうでこうで、これくらい反響があって、という説明をしても反応が薄いんですけど、「町内のA店さんがやってます」だと受注が取れる。横並び意識というか、人の眼を気にするところはあるのかな。

僕ね、都会が怖いんですよ。だから、やいやい言いますけど、豊橋くらいがちょうどいい。名古屋じゃ都会すぎる。でも宮崎の地元は田舎すぎる。豊橋は家賃の割には家がそこそこ広いところが借りられるし、食べ物は安く手に入る。着るものは少し困るけど今はネットで買えるからあんまり支障がない。

――じゃあ、都会の人みたいに貢物を拒否されたら……。

佐藤さん:そうなったら僕は出ていくかもしれないです(笑)

■豊橋の住みよさは「移動ストレスの少なさ」

佐藤さん:僕、豊橋はすごく交通インフラがいいなと思うんです。名古屋も浜松も東京も電車1本で行けて、高速道路もバイパスへもアクセスがいい。車が混むとすごくストレスが掛かるんですけど、渋滞もあんまりないですよね。この移動ストレスがすくないのは本当に豊橋のいいところです。

――フットワーク軽く動きたい方には最適かもしれませんね。

佐藤さん:僕ね、一番最初の会社を3年くらいで辞めたんです。普通はそこで地元に帰る道を選ぶのかもしれないけど、僕は豊橋に残りました。田舎を出てくるときにクラウン新車で買う気でいたくらいですからね。あれ、まだ何もやってないじゃん、まだ帰れないじゃん、って。そのとき、豊橋にいたほうがチャンスがあると思ったんですよね。

――クラウン、まだ買ってないですけども。

佐藤さん:そのうち、そのうち(笑)今はもう人脈もあるし、豊橋のことが好きですよ。あっ、でも許せないこと今思い出したな。

――え⁉ なんですか?

佐藤さん:豊橋のチキン南蛮は偽物です、あれは鶏のから揚げにタルタルかけてるだけです。それだけはちょっと豊橋許せないかな。本物のチキン南蛮はちょっと違います。あとお寿司もイマイチかなあ。その辺は宮崎のほうがちょっと勝てるところかもしれないですね。

(聞き手・当法人代表 村井真子)

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