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移住者インタビューVol.3 籔内龍介さん

大学進学を機に豊橋市に移住し、この地で起業も果たした籔内さん。起業を志す若者にとって豊橋はどのような街に映ったのか、今も住むこの街にどのような想いがあるのか伺いました。

籔内龍介さんプロフィール

山口県より豊橋技術科学大学進学のため移住(栄校区)。卒業後も豊橋に拠点を構え、学生起業した「株式会社Lirem」の代表取締役として活動中。現在23歳。

■大学に向かう道で「山口に近づいている」って思いました

――籔内さんが豊橋にいらしたきっかけは進学だそうですね。

そうです。僕はもともと山口県宇部市の出身で、宇部高専という学校に行っていました。それで、卒業後の大学編入で豊橋技術科大学(以下、技科大)に進学したんです。

僕は高専時代から起業したいな、という想いがけっこう強くて。それでいろいろ考えて、山口だと人間関係を広げるのも限界があるしどうしよう、と思ったときに、大学編入っていうかたちで山口を出ることにしました。

――最初から起業を視野に入れての移住だったんですね。

今考えると結構安易だったんですけど、都会であること、人脈、あと入りやすい条件の大学があること、という条件で絞り込んで技科大が選択肢に浮上しました。

技科大って、高専生にとってすごく入りやすい学校なんです。もともと高専生の受け入れにも積極的ですし、僕の行っていた宇部高専の場合ではクラスでも成績順で半分以上に入っていれば推薦枠がもらえた。推薦枠さえ貰えれば、それこそ願書一枚で編入できる、みたいな手軽さがありました。他の大学だとやっぱり願書出して、試験受けて面接受けて……というのが一般的なので、この入りやすさは魅力でした。しかも愛知県にあるし。愛知県は名古屋のイメージで都会のイメージが強くて。

――実際、豊橋に来てどう思いました?

一番最初、技科大のオープンキャンパスに来たとき、豊橋駅から技科大に向かうバスに乗って、ああやっぱ都会だな、山口とは違うって一緒に行った友人と話してて。でも、だんだんキャベツ畑が見えてきて、山道っぽくなってきて、「山口に近づいてる」って話してました。そうですね、思ったより技科大の周辺は田舎でしたね(笑)

豊橋って地名はうっすら聞いたことがあるようなないようなという感じだったんですが、愛知県っていうだけで当時の僕には凄く都会だと感じていて。名古屋と比べるとやっぱり田舎かなって思いますけど、それでも豊橋は山口より都会だなと思いましたね、住んでみて。

■学生の視点で見た豊橋ぐらしの良さとイマイチな点

――住んでみて都会だな、と感じたところってどんなところでしたか?

飲食店が多いと思います。特に学生でも気軽に入れるお店がいっぱい、しかも徒歩圏内にある。実家暮らししてたときにはちょっと外食しようっていってもお店自体が遠いし少ないし、気軽に行ける感じではなかった。でも豊橋は本当に少し歩けばお店があって、そういうのはすごくいいなと思います。

僕、こっちに友達とか後輩が来ると教えているお店がいくつかあって。例えばコウヨウ館(注 豊橋市内に3店舗を展開するローカル洋食チェーン)とか、学生でも入りやすいお店がたくさんありますよね。

あとは藤沢(注 メガドン・キホーテや映画館・ホテルがある商業エリア)の近くでは「ラーメンくいば」(注 家系ラーメンの人気店)とか、遅くまでやってて学生の生活スタイルだとありがたくて、僕は結構通ったりしています。

――結構郊外のお店も開拓されていますね。

越してきた最初の年は車がなかったので、やっぱり行動範囲に制限があって。

僕は特に起業するために豊橋に来たという思いがあったので、2年目に友人から車を譲ってもらいました。車を手に入れたら格段に行動できる場所も量も増えました。会いたい人がいつもアクセスのいいところにいるわけじゃないので、これは本当によかったなと思うし、車がないとやっぱり厳しいかなと感じます。

豊橋は渥美線も市電もバスもありますが、居酒屋でバイトしたりすると、仕事が終わって帰る頃には終電終バスです。学校と駅の往復や寮住まいとかでなければ、やっぱり学生でも車はあったほうが便利ではないでしょうか。

――徒歩と車と、豊橋は歩ける範囲が変わると。

僕は徒歩でも移動しますが、豊橋の道は歩行者用の信号が少ない気がします。それこそ山口にいたときは全部にちかい印象で信号がありましたけど、豊橋は本当に少ない。歩道のある道も大きな通りが多いかなと。郊外を歩く人を想定していないんだろうと思います。

あと車の交通量が多い道でも車線が少なくて、ちょいちょい渋滞してますね。この辺は豊橋に来て感じた不便なところですね。

■起業したい若者にとっての豊橋の価値

――籔内さんは起業移住して、実際起業されましたが、起業家視点の豊橋はいかがですか。

人脈っていう意味では本当にいい環境だと思います。いい意味でおせっかいであったかい人が多くて、僕が起業したいって言うと次から次へ人を繋いでくださったり、場を与えてくれた人が本当に多くて。

一番最初に入った起業家コミュニティは「Startup Weekend」で、技科大を会場にして行われたときに参加しました。ちょうどそのころHigashi Mikawa UPPERS(アッパーズ)の立ち上がり期で、起業家コミュニティに入れたし、Startup Garageにも行くようになりました。このあたりのコミュニティのマネージャーさんたちがどんどん繋いでくださって、「今度こんなイベントやるから来てよ!」「こっちもいいよ!」と教えてくれた。だから人脈は想像以上に得られたなと思っています。ありがたいです。

(注 Startup Weekendは全世界で7,000回以上開かれ、50万人以上が参加しているスタートアップ実践イベント。豊橋でも7回開催されている。Higashi Mikawa UPPERSは豊橋を含む愛知県東部エリアの起業家支援プロジェクトで、ピッチイベントや壁打ちなども含めた場を提供しており、その拠点が豊橋市が運営するコワーキングスペースであるStartup Garageになる。)

――一定の人脈は期待以上に得られる。

仲間作りもしやすいと思いますね。アッパーズもそうですし、技科大があるからエンジニアなども確保しやすい。本当にいい環境です。

その反面、ベンチャー・キャピタルなど資金調達はやっぱり名古屋、東京、ということになる気がしています。やっぱりそちらでは起業家の数も多いし、スピード感もあるし、それを支える支援も手厚い。

豊橋って、スモールビジネスやソーシャルビジネスだとエコシステムがちゃんと機能するんです。競合もすくないし、一定の市場はあるし。けれど、スケールを目指す規模感の支援はないように思います。東京、名古屋に出やすい、というメリットはありつつも、豊橋ですべて完結させるのは無理かもしれない。

■豊橋の起業家のロールモデルになりたい

――豊橋に籔内さんのような起業家を増やしていくにはどうしたらよいと思いますか?

豊橋のこと、スケール目指す起業家にはイマイチみたいにいったんですけど、それはロールモデルがないからだと思うんです。

一人スケールする起業家が出れば、どのフェーズでどんなことやってどんな支援が欲しくて何をして、って実績が出来てマイルストーンが見えてくると思うのですが、いまそれが明確になるほどのロールモデルはない。

僕は豊橋に恩返しがしたいです。さっきも言ったのですが豊橋でたくさんの縁を繋いで頂いたから、卒業して山口に帰りたい、もっと違う場所に行きたいって思わずに残りました。だから、僕がロールモデルになって、豊橋で起業できるじゃん、という空気をつくりたい。

先駆者になりたいな、という気持ちが強くあります。

――もうすでに豊橋にいい影響をくださっていると思います。

ありがとうございます!

僕たちの会社は今これから資金調達のフェーズに向かおうとしてるんですが、人が輝ける場所を作りたい、それってどうやって作るの?ってことを本当にここ数か月真剣に考えていて。人がつながって輝く、繋がることでより輝ける、そういう出会いの場になるプラットフォームを常に考えていきたいなと思っています。

(聞き手 当法人 村井真子)

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