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豊橋NEXT*Action キックオフイベント開催レポート

― 共創で描く、豊橋のこれから ―

2026年5月30日、一般社団法人移住者人材バンクが事務局を務める「豊橋NEXT*Action 実行委員会」は、emCAMPUS STUDIOにて「豊橋NEXT*Action キックオフイベント」を開催しました。
本イベントは、これまで開催してきた「豊橋100人カイギ」で生まれた“人と人との出会い”を次の段階へ進めるための新たな取り組みです。

豊橋には、大学、企業、農業、観光、まちづくりなど多様な資源があります。しかし、それらが分野を越えてつながり、新たな価値を生み出す機会は決して多くありません。豊橋NEXT*Actionは、人の出会いを目的とするだけではなく、その先にある「行動」「連携」「共創」を生み出す場としてスタートしました。

会場協賛・emCAMPUSが目指すもの

冒頭では、会場協賛をいただいたemCAMPUS STUDIOより、施設の紹介と取り組みについてお話しいただきました。
emCAMPUSは「共に挑戦の地図を広げる場所」をコンセプトに、起業や新規事業創出を支援する拠点です。事業アイデアの壁打ちや伴走支援、地域課題をテーマにしたアイデアソン、起業家同士のネットワーク形成などを通じて、東三河の挑戦を支えています。

今回のイベントテーマである「共創」とも親和性が高く、まさに地域の新しい挑戦が生まれる場としての役割を担っています。

第一部講演「技術と地域の接続が生み出す可能性」


第一部では、豊橋技術科学大学 人間中心アグリテック共創センター長・教授の上原一将氏にご登壇いただき、現在豊橋技術科学大学が進めている「人間中心アグリテック」の取り組みについて紹介いただきました。

上原氏は、脳科学や人間工学の研究を背景に、農業分野へ科学技術を応用する研究を進めています。講演において印象的だったのは、「技術を作るだけではなく、人が使える技術にしなければ意味がない」という上原氏の考え方です。

氏が例として挙げられたのはスマート農業。スマート農業とは、ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業のこと。技術は数多く開発されているものの、実際の利用率はまだ高くありません。
そこで、農業者が自然に使える技術として設計し直すこと、人と技術の関係性そのものを研究対象とすることが重要であると語られました。

また、豊橋が全国有数の農業産地でありながら、工業集積地でもあることに着目し、「農業と工業の両方が高いレベルで存在する地域は全国的にも稀」であることを紹介。

さらに現在、行政や金融機関、地域の事業会社とも連携し、豊橋技術科学大学を中心とした共創の取り組みが国の大型研究プロジェクトに採択されていることも説明されました。

講演の最後には、「大学は地域課題を解決するために生まれた存在であり、地域とともに未来をつくる役割を担っている」という言葉が語られました。

第二部トークセッション「豊橋の特徴と課題から考える共創のかたち」

第二部では、豊橋技術科学大学の上原一将氏、道の駅とよはし副駅長の吉開仁紀氏、株式会社サーラコーポレーションの鈴木将孝氏を迎え、豊橋NEXT*Action 実行委員 村井真子のモデレーションのもと、「地域特性」「共創」「地域の未来」をテーマに議論が行われました。

第一部で語られたアグリテックの話題を起点にしながらも、議論は農業だけにとどまらず、人口減少、人材育成、地域の魅力発信、産学官連携など、豊橋の未来そのものへと広がっていきました。

豊橋は「農業」と「工業」が共存する希少な地域

最初のテーマは「豊橋にはどんな特徴があるのか」。

上原氏は、豊橋に着任して感じた地域の強みとして、
・全国有数の農業生産力
・製造業の集積
・地域の人々の温かさ を挙げました。
特に農業と工業の両方が高いレベルで存在している点は全国的にも珍しく、アグリテックの研究を進める上で非常に恵まれた環境だと語ります。また、豊橋技術科学大学には全国各地や海外から学生が集まっており、卒業後も豊橋を好きになってくれる人が多いことも紹介されました。

「豊橋にはポテンシャルがある」。これは大学という外部の視点から見ても明らかな事実だというメッセージでした。

一方で、吉開氏は少し異なる角度から豊橋を語りました。
豊橋市役所、経済産業省、そして全国各地の地方創生プロジェクトに関わってきた経験を踏まえ、「豊橋は良くも悪くも危機感が薄い街」と率直に指摘。全国には人口減少や産業衰退に直面し、「このままでは街がなくなってしまう」という強い危機感を持ちながら挑戦を続けている地域が数多くあります。それに比べると、豊橋は農業も工業も一定の基盤があり、暮らしやすさもあるため、変化への切迫感が生まれにくい。しかし人口減少は確実に進んでおり、人手不足や後継者不足は今後ますます深刻化していく。

だからこそ、「エッジを立てて尖っていくことで選ばれる。ギアを上げていく必要がある」と語りました。

人口減少時代に必要なのは「共創」

続いて話題は「共創」に移ります。「共創とは何か」という問いが投げかけられると、吉開氏は印象的な表現で答えました。「自分たちだけではできないことを、誰かと一緒にやること」。これが共創の本質ではないかというのです。
人口減少が進むこれからの社会では、行政だけ、企業だけ、大学だけで課題を解決することは難しくなります。

そのような状況について吉開氏は、「これからの地域は江戸時代化していく」という独自の表現で説明。行政サービスだけに依存するのではなく、自分たちでできることを持ち寄り、足りない部分を補い合う社会へと変化していくのではないか。そのためにも、異なる専門性を持つ人たちがつながる場が必要だと語りました。

共創のメリットは地域を豊かにすること

このような議論を受け、鈴木氏は「共創のベネフィットは地域が活性化すること」だと語りました。共創することで地域が活性化すると、それにとって経済的にも発展し、人も集まってくる。そこで地域が豊かになる。地域が豊かになると、そこに住まう人が恩恵を受けることができる。たとえば仕事の選択肢が増えたり、買い物や外出先が増えたり、この街で暮らすことで得られるものが増えていく――だからこそ共創は必要なのだという指摘に、会場の参加者からは大きな頷きが見られました。

大学は「研究」、企業は「実装」、地域は「現場」

続いてアカデミアや事業会社それぞれの共創における役割について議論は発展。登壇者たちはそれぞれの立場から、「研究」「事業化」「地域実装」という役割分担の重要性を指摘しました。

大学は新しい技術や知見を生み出す。
企業はそれを事業として社会に届ける。
地域は実際に使いながら価値を磨いていく。

それぞれが単独で動くのではなく、相互に行き来しながら価値を生み出していくことが必要だという考え方です。三者三様の言葉で語られる在り方に、共創とは単なる協力関係ではなく、「未来を一緒に設計すること」だとメッセージが重層的に伝わってきました。

豊橋は何で勝負するのか

議論の終盤では、「豊橋は何を強みに未来を描くべきか」という話題に。

鈴木氏は、「農業は豊橋が持つ最も大きな武器のひとつ」と語ります。食は誰にとっても必要なものであり、農業は地域経済だけでなく安全保障にも関わる重要な産業です。だからこそ、「生産⇒流通⇒販売⇒技術開発」を一体で考える必要がある。

サーラグループでも「フードバレー構想」を掲げ、農業を地域の成長産業として育てる取り組みを進めていることが紹介されました。

「若者が失望しない街」をつくる

この日の議論の中で、最も印象的だった言葉のひとつが吉開氏の「若い人が失望しない街であるべき」という発言でした。

豊橋から若者が流出する理由のひとつは、「やりたい仕事がない」と感じてしまうことです。しかし本当に必要なのは、東京と同じものをつくることではなく、「豊橋だからできること」を増やしていくことではないか。

アグリテックでも、食でも、ものづくりでもいい。
何かひとつでも「それなら豊橋だよね」と言われる分野を育てること。
その積み重ねが、若者に希望を与え、人を呼び込む地域の魅力になるのではないか。

そんな未来像が語られました。

イベントを終えて

今回のキックオフイベントを通じて改めて感じたのは、豊橋には既に多くの資源があり、その可能性に気づき始めている人たちが存在しているということです。

そして、その共通点は

「豊橋にはまだ伸びる余地がある」

という確信でした。

豊橋NEXT*Actionは、単なるイベントではありません。

人と人が出会い、知識と知識が交わり、そして行動が生まれる場です。

豊橋NEXT*Action実行委員会は今回のキックオフを第一歩として、今後も地域の未来につながる対話と共創を積み重ねていきます。

次回開催予定

2026年11月15日にて実施予定です。
詳細は決まり次第、豊橋NEXT*Action実行委員の各種SNSにてご案内いたします。

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